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企業において使用しているIDやパスワード、アクセス権限などを一元管理してくれる統合ID管理システム。
こちらのページでは、統合ID管理についての基礎知識から、さまざまな種類がある統合ID管理システムの選び方、システムの比較情報を紹介しています。
それぞれの特徴やおすすめポイントをニーズ別にまとめていますので、導入にあたっての検討材料にしてみてはいかがでしょうか。
【マンガで徹底解説】
多要素認証システムの選び方
オンプレミス型にするべき
企業って?
※2022年9月の調査時点の情報
引用元:アイピーキューブ
https://ip3.co.jp/solution/entrymaster/
IP3-ACEの統合ID管理製品「EntryMaster」の特徴は、それぞれの企業の環境や要件にあわせて設計できるカスタマイズ性の高さです。ID管理として必要な機能は標準機能として提供しており、無制限ユーザライセンスもあるため、管理者するシステム数やID数が多くなるにつれてお得にコストパフォーマンス良く導入できます。
IP3-ACEの多要素認証製品「AuthWay」やSSO製品「CloudLink」と組み合わせることで、統一された運用・管理ができる統合認証システムへの拡張も可能です。
それぞれの企業のニーズによって、柔軟な設計ができるシステム。後から管理対象のシステムが増えても容易に追加可能
無制限ユーザライセンスもあり、ID数が増えても追加コストは不要でコストパフォーマンスが良い
多要素認証システムやSSOシステムも含めた統合認証システムへの拡張も可能。全て自社製品なので、カスタマイズ性にも優れ、統一された運用・管理が可能
近畿労働金庫では、社内システムが増加し、手動で行っていたID管理や権限管理の作業が運用の負担となっていました。そこで、EntryMasterを導入し、Active Directoryとの連携をはじめとする多様なシステム間のデータ連携を自動化しました。その結果、日々1時間かかっていたIDデータのメンテナンス作業がわずか5分で完了するようになり、人事異動期の膨大なデータ更新作業も大幅に効率化されました。今後も拡張性の高いEntryMasterが、DX推進を支える重要な役割を果たしていく予定です。
Microsoft 365 を契機に 3,800 名規模の SaaS 認証基盤として CloudLink + AuthWay を採用。SSO と電子証明書/OTP 併用の MFA で「いつでもどこでも安全に」アクセスできる環境を構築し、5 年間無停止・運用負荷ゼロ、5,000 万円超のコスト削減を達成。
約 4.5 万人の学生・教職員向け共通認証システムに CloudLink を導入。既存 2 段階認証に FIDO パスワードレスを追加し、学内外システムへの利便性とセキュリティを同時に強化。
SAML連携でGoogle WorkspaceやSalesforce等のSaaSと社内Webを統合ログイン。SAML未対応システムもリバースプロキシでID入力不要にしUXを向上。AD/LDAPと連携し既存認証を活かした導入が可能。低コストで拡張可、運用も安心。
IPアドレスとブラウザCookieで端末を判定し、社外や私物デバイスからの不正アクセスを遮断。追加アプリ不要でスマホ・タブレットも制御でき、テレワークの利便性と安全性を両立。ポリシーは管理画面で柔軟設定、クラウド環境でも統一適用。
AuthWay連携でワンタイムパスワード、二経路、FIDO2生体などを簡単追加。社外アクセスのみMFA必須などリスクベース適用も可能。パスワードレス化で漏えい対策とログイン速度を両立し、運用負荷を軽減しつつ安全強化。
同梱のプライベートCAで証明書の発行・配布・更新・失効を一括管理。自動配布と即時失効でデバイス紛失時のリスクを最小化。証明書ベースMFAやVPN連携も容易で、管理工数とコストを削減。
ユーザー専用SSOポータルが利用可能サービスを自動表示。パスワード変更/リセットをセルフサービス化しヘルプデスク工数を削減。レスポンシブUIでスマホ対応、学内・企業実績で証明済みの操作性を提供。
引用元:EXGEN NETWORKS
https://www.exgen.co.jp/index.html
LDAP Managerを提供するエクスジェン・ネットワークスは、統合ID管理システムの開発や構築・保守をメイン事業としているID管理専業ベンダーという点が大きな特徴です。 LDAP Managerを導入することにより、複数部門が管理する多くのシステムのアカウント登録作業を一元管理化・自動化可能、また不正アクセスの防止ができるほか、さらにパスワード一元管理が可能になることから、管理者の運用負荷軽減にもつながります。
700社以上の豊富な導入実績 ※1
企業が持つID管理に対する要件を標準機能+オプション機能で幅広くカバーできる
プラグインやオプションで必要な機能だけ選択して購入可能
※1参照元:EXGEN NETWORKS(https://www.exgen.co.jp/index.html)
古い認証システムの更新とコスト削減のために、LDAP Manager on Azureを導入した大手前学園は、このシステムによりクラウド対応とシングルサインオンの導入が可能となり、大規模なID管理も効率的に行えるようになりました。システムの運用負担が軽減され、教育機関としてのITインフラの近代化を進められる環境の構築に成功しています。
学認 IdP をクラウド化する際、既設の LDAP Manager と Extic を連携。Microsoft Entra ID に不足する学認機能を補完し、学内外 ID・認証運用を双方で省力化。
約 6,000 名のグループ ID を統合。LDAP Manager が AgileWorks・HENNGE・Microsoft 365 などへリアルタイムに連携し、登録漏れゼロと運用負荷大幅削減を達成。
人事 CSV/RDB/API/Web 画面など多彩なインターフェースから原本データを吸収。重複や形式変換を自動化し、導入後すぐに安定した ID ソースを確立できる。
入社・異動・休職・退職イベントに応じてアカウント生成・権限変更・失効を全自動化。残存 ID を防ぎライセンス費も最適化できる。
Microsoft Entra ID/AD/LDAP/各種 SaaS に ID・権限を即時同期。登録漏れによる業務停止を防ぎ、クラウド追加時もプラグイン追加だけで対応可能。
GUI で条件分岐や文字列操作を設定し、部署コードからメール別名を自動生成など細粒度の命名規則を実現。コーディング不要で高い拡張性。
取込 CSV チェックや操作ログを一元管理し、証跡をワンクリック出力。共通ポリシー・セルフリセット機能でヘルプデスク工数を削減。
引用元:インテック
https://www.intec.co.jp/service/detail/integrated-management/
ID同期システム「結人」とID統合システム「束人」を組み合わせることにより、クラウドとオンプレミスの2つのハイブリッド環境でID管理を行うことが可能に。システムごとに管理されてきたID情報の統合管理を実現します。また、CSVファイルやLDAP v3準拠のLDAPサーバ、Active Directoryなどさまざまなシステムや機能との連携できる点も特徴です。
導入時は要件に合わせシステム設計を行った上で環境を構築し、動作確認と実運用を想定したテストを実施した後に利用をスタートできます。
「棚卸レポート機能」により、システム毎のIDの利用実態をレポート化。Webブラウザを使用して閲覧・管理が可能
シンプルなシステム構成により、管理者の負担を軽減。柔軟なシステム構成の変更にも対応
ID発行もID統合システム「束人」から簡単に素早く行なうことが可能
結人/束人の導入事例を見つけることができませんでした。詳細は結人/束人に直接お問い合わせください。
SAML連携でMicrosoft 365/Google Workspace等のSaaSにシングルサインオンを提供。開発不要でブラウザ・モバイル双方に対応。
クライアント証明書・OTPなどを組み合わせた MFA を選択可能。リスクに応じたパスワードレス運用でセキュリティを強化。
ポリシー設定/期限通知/セルフリセットを備え、運用部門の手間と漏えいリスクを低減。
社内 ID と複数 SaaS の ID を自動同期。API 連携で新サービス追加にも即対応し、運用コストを削減。
ID 追加・削除や認証状況をリアルタイム可視化し、不審操作を早期検知。CSV で監査報告も容易。

統合ID管理とは、IDやパスワードなどのユーザー情報を一元管理するシステムのことです。統合ID管理システムから複数のアプリケーションにユーザー情報を配布・連携できるなど利便性を高めるとともに、セキュリティ対策面でも役立ちます。また、管理者の稼働や手間を大幅に減らすことが可能であり、利用者のパスワード管理などの利便性も向上するため業務の効率化にも繋がります。
クラウド型は初期費用も低コストで迅速な導入が可能なメリットがあります。一方オンプレミス型はカスタマイズ性が高く、ランニングコストを抑えられ、社内のオンプレミス型のシステム連携も柔軟に対応できます。それぞれ企業のニーズやシステム利用期間(例えば、5年間)でのトータルコストを考慮して、提供形態を検討しましょう。
統合ID管理を実現できるシステム範囲は、製品・サービスによって異なります。シングルサインオンとあわせて導入する場合、統合ID管理とシングルサインオンの両方の対象システムを網羅できるかが重要です。製品・サービスによってどのようなシステムと連携が可能かを確認し、自社のニーズを満たせる製品・サービスを選びましょう。
ライフサイクル管理は、IDの登録・変更・削除など、IDが生成されてから消滅するまでのライフサイクル全体を管理するものです。異動・休職・出向など様々なイベントへの柔軟な対応や対応コストなどを確認することも重要です。
拡張性と互換性を見極めて、ビジネス成長に伴うシステム変更や処理性能の向上などにも柔軟に対応できる製品・サービスを選びましょう。
IDの不正利用や情報漏洩を防ぐためにも、多要素認証などのセキュリティ機能が利用可能か、利用時のコストなどを確認しましょう。
ID管理を円滑に運用していくには、ベンダーの適切なサポートが欠かせません。不明点やトラブル対応をしっかり確認できる問合せ先があるかどうかも重要なポイントです。特に海外のサービスを利用するときは、日本語でのサポート対応が可能かどうかを確認しましょう。
GDPR、HIPAA、CCPAなど、地域や業界によって異なる法規制が存在します。これらの法規制に適合する必要があるかを検討し、適合する必要がある場合には、ユーザーの同意やデータの取り扱いに関する要件にも留意する必要があります。
自社に合った統合ID管理システムを選ぶ第一段階として、まず「オンプレミス型」と「クラウドサービス型」のどちらがふさわしいかを考えてから個別のシステムを検討する方法をおすすめします。
企業ごとに必要なシステムは異なっており、自社のセキュリティポリシーや規模、方針を把握することではじめて最適な製品やサービスを検討することが可能になります。
製品型の統合ID管理システムはオンプレミスやクラウドにサーバー環境を用意し、自社専用の統合ID管理システムを構築します。導入する際は初期費用が発生し、製品等の保守費用も必要です。
サービス事業者が提供するクラウド上に構成された統合ID管理システムを利用します。サーバー環境を用意する必要はありませんが、統合できるのはサービスを利用するアカウントのみで、毎月の利用料など定期的な支払いが必要です。

統合ID管理システムは、統合認証システムの構成要素のひとつです。
統合ID管理システムがユーザーのID情報・認証情報を管理し、シングルサインオンや多要素認証システムがその情報を利用して認証とアクセス制御を行います。
ここでは、統合ID管理システムも含む「統合認証システム」に焦点をあてて、オンプレミス型をえらぶべき企業の姿に迫ります!

近年、クラウド型統合認証サービス(IDaaS)を導入する企業が増えていますが、データセキュリティやプライバシーへの懸念、既存システムとの互換性の問題などから、すべての企業がIDaaSを選んでいるわけではありません。特に、大手企業や金融機関、公共機関などでは、セキュリティやコストの観点からオンプレミス型統合認証システムが最適と考えて採用しています。
オンプレミス型統合認証システムを選ぶ場合でも、必ずしも社内にサーバを設置する必要はありません。クラウドサービス(IaaS)上に独自の統合認証システムを構築することも可能です。
いずれにせよ、自社に合った統合認証システムをしっかり選択することが重要です。そこで、オンプレミス型統合認証システムが選ばれる”4つの理由”を解説します。

オンプレミス型統合認証システムは、既存のオンプレシステムと緊密に連携できるため、一元管理がしやすくなります。IDaaSではオンプレとの連携が難しい、あるいは制限がある場合がありますが、オンプレミス型ならネットワーク遅延やセキュリティリスクを最小限に抑えながら統合管理が可能です。
特に、既存のオンプレシステムを統合したい企業には適しています。また、オンプレミスだけでなく、クラウドサービス(SaaS)も統合管理できるのもメリットの一つです。

オンプレミス型統合認証システムは、IDaaSに比べてカスタマイズの自由度が高く、自社の運用や特定のニーズに応じた基盤を構築できます。IDaaSでは標準化された機能に制約される場合がありますが、オンプレミス型なら独自の要件やセキュリティポリシーに合わせた柔軟な設計や設定が可能です。これにより、業務効率の向上やセキュリティ強化が図れ、自社に最適な統合認証基盤を作ることができます。
また、オンプレミス型統合認証システムを選ぶ理由として、「データの保護が重要」「最新技術の追従・採用に優れている」といった意見があります。セキュリティ性と最新技術の取り入れやすさの理由から、一度はIDaaSに移行した企業でも、オンプレミス型に戻るケースが見られます。

IDaaSは、1ユーザ当たりの利用料金(月額・年額)によるサブスクリプションプランが一般的です。そのため、ユーザ数が増えると、ランニングコストが大幅に跳ね上がることがあります。また、オンプレシステムとの統合や追加機能の利用により、初期費用も含めたトータルコストが高額になる場合があり、数年間で見た場合にはオンプレミス型統合認証システムよりも高くなる傾向があります。
統合認証システムは企業の重要な基盤であり、簡単にリプレースすることはできないため、初期費用だけでなく、中長期のトータルコストを考慮して選ぶことが大切です。特に、ユーザ規模が大きい場合は、トータルコストを抑えやすいオンプレミス型統合認証システムが有効な選択肢となります。
さらに、企業が成長しユーザ数が増加した場合の追加コストも重要なポイントです。ユーザ数無制限のライセンスプランを提供するオンプレミス型統合認証システムを選ぶことで、将来的なコスト削減につながるでしょう。

自社内でデジタル資産を管理することで、セキュリティとガバナンスの両面を強化できる点も、オンプレミス型統合認証システムを選ぶ大きな理由の一つです。IDaaSにおいてもセキュリティに大きな差がない場合はありますが、デジタル資産を自社管理下に置く方が適切と考える企業が多いのも事実です。特に、オンプレミスのノウハウや体制が整っている企業では、セキュリティの要となる認証情報やID情報を自社で管理する方がベターだと判断することがよくあります。
また、クラウドサービスの運用スキルが不足している場合、セキュリティやガバナンスを十分に確保した運用が難しいため、オンプレミス型統合認証システムを選択するケースも少なくありません。
セキュリティ・ガバナンス強化に
最適
オンプレミス型製品おすすめ3選
自社のデータ管理において、セキュリティやパフォーマンスに対する要求が高い場合や、中・長期的なコスト効率を重視する場合、オンプレミス型統合認証システムが最適な選択となるケースも多いでしょう。IDaaSは手軽さや初期費用の低さが魅力ですが、重要なのは自社にとって最も優先すべき要素を見極め、最適なソリューションを選ぶことです。IDaaSの利用が進む一方で、オンプレミス型統合認証システムは依然として最適な選択肢の1つとして存在し続けています。
IP3-ACEでは、統合ID管理機能をID管理製品「EntryMaster」で実現しており、ユーザーを一元管理し、他のシステムやクラウドサービスにユーザー情報を連携することが可能。IP3-ACEの多要素認証(MFA)製品やSSO製品も自社開発しているため、UIなど運用管理機能の統合など管理者としての使いやすさの点で強みを持ちます。
LDAP Managerは、他システムに連携しユーザーの登録・更新・削除を一箇所で管理するが、他システムに連携増加するシステムに対しても拡張できる柔軟性は魅力。またエクスジェン・ネットワークスはID管理を専業で製品開発やサービス提供をしています。
ThemiStructは、アカウント情報を一元管理するOpenIDMベースのID管理ソリューション。SCIMの技術仕様に準拠したアカウントの登録・参照・変更・削除といったIDメンテナンスを行うことが可能です。
人事データベースの人事情報との連携やシステム管理者による新規ユーザーの登録、パスワードポリシーの設定などさまざまな機能を搭載しています。日本独特とも言える年度末での異動や階層構造にも対応している点も特徴です。
ID管理をメインとするID同期システム「結人」はさまざまなデータ形式の違いに合わせシステム間のデータ同期が可能。また、ID統合システム「束人」は、IDパスワードの一括登録、操作・変更ログ管理、閲覧システムなどによりID管理の運用を行えます。
企業の内部で使用されるID情報を管理するとともに、認証を一元化することが可能。ID・パスワードによって管理されているシステムと統合ID管理システムを連動することによって、全体の最適化を実現していきます。
統合ID管理とは、複数サービスのIDを一元管理することを指します。ユーザビリティの向上だけでなく、セキュリティの強化もできるため複数のサービスを運営しているならぜひ取り入れたい管理方法です。
統合ID管理を行う場合には、MicrosoftのActive Directory(AD)やLDAPといったディレクトリサービスを利用することによって、ユーザー情報を階層構造で整理します。この点により、認証やアクセス制御を容易に行えるようにします。 さらに、近年ではOktaやMicrosoft Entra ID(旧Azure AD)などのようなクラウドベースの統合ID管理プラットフォームも普及しているため、オンプレミスとクラウドの両方の環境をシームレスに接続できるようになっています。
企業が顧客向けに複数のサービスを提供している場合に、そのサービスで使用する複数の顧客IDをひとつのIDとして統合することを「顧客ID統合」と呼びます。
例えば、ある企業でECサイトやアプリの提供など複数のサービスを運営しているとします。それぞれのサービスで個別の会員登録を行っている場合、利便性が高いとはいえません。このような場合に、顧客IDをひとつに統合することで、利便性を高められます。
企業では、さまざまなサービスの提供によって顧客との接点を作ってきました。しかし、その中では同じ企業にもかかわらずサービスごとにID登録が必要になるケースも出てきます。そうなると、ID登録に手間がかかることに加えて、どのIDやパスワードを使用していたのかわからなくなってしまい、利便性や顧客満足度の低下を招く可能性があります。
さらに、近年ではサードパーティクッキーの規制や販売チャネルの多様化、人口減少などの背景から、企業が顧客データを自社で入手した上で活用する機会が増えているなどの点も背景として考えられます。企業側が顧客データを一元化することによって、さまざまな規制やプライバシーに配慮しながら適切な管理を行えるようになる点に加えて、ターゲティングの精度を高める、顧客のニーズに対応したサービスの提供が可能になるといった面もあります。
ID管理とは、企業において社員が業務に利用しているシステムやPC、アプリケーション、サービスなどを利用する際に必要となるアカウント情報の管理を行うことを指します。例えば、アカウント情報の登録・変更・削除やアクセス権限の付与などが該当します。ここで管理される情報には、「ID」「パスワード」「メールアドレス」「社員番号」「所属」「役職」「内線番号」など、さまざまなものが含まれます。
近年では、企業は不正アクセスをはじめさまざまな脅威にさらされている状況です。セキュリティを高めて企業の重要な情報を守るには、上記のような情報をしっかりと管理することが非常に重要であるといえます。
ID管理システムの活用によってユーザ認証やアクセス権限の管理を一元化できますし、リアルタイムでの監視・レポーティングも行えるようになります。そのため、不正アクセスの防止やデータ漏洩リスクを低減させるなど、セキュリティ面での強化につながります。
コンプライアンスの観点からも、ID管理の徹底には大きなメリットがあります。例えば、不適切なID管理を行っているとコンプライアンス違反と見なされるケースがあるように、業界規制や法律ではデータ保護・アクセス制御に関して厳格な要件を定めています。ID管理システムの導入によって、企業のコンプライアンスを確保しながら、システムの運用効率を向上させられます。
新しいユーザーのオンボーディングから、アクセス権の変更作業、退職者が出た際の処理など、アカウントにまつわる業務にはさまざまなものがありますが、ID管理の一元化によって管理業務の効率化につなげられます。この点から、ITチームでは負荷を軽減でき、他のタスクに集中できるようになります。
ID管理システムの導入は、従業員の利便性向上にもつながります。例えばシングルサインオン(SSO)機能が使用できるようになると、1回のログインにより複数のサービスやアプリケーションを使用できるようになります。従業員はいくつものIDやパスワードを記憶しておく必要がなくなるため、業務にもつながっていきます。
現在、リモートワークを導入している企業も多くあります。このような企業の場合、ID管理システムの導入によりリモートワーク環境における安全なアクセスを実現できます。この点から、場所に左右されることなくセキュアなリモートアクセスの実現が可能となるため、より柔軟な働き方につなげられます。
ID管理システムを導入・運用するにあたっては、システムの購入費や設定・管理・運用に関わるコストが発生するため、この点が負担となる可能性があります。また、導入と運用にあたってはリソースも必要となりますが、専門的なスキルを持つスタッフがいない企業の場合は新たな人材を雇用するなど、人件費も発生するといったケースも考えられます。
さまざまな機能を搭載しているID管理システムは、導入により多くのメリットが得られますが、設定や管理が複雑になるケースもあります。さらに、組織が成長するに伴ってユーザーの管理やポリシーの更新を行う必要があり、さらに複雑になっていく可能性が考えられます。
システム障害が発生した場合のリスクも考える必要があります。ID管理システムの場合、ひとつのIDデータリストによって複数のシステムを管理するため、サーバの障害などが発生するとシステムを利用できなくなる可能性もあります。
また、地震や火災などの災害によってシステムがダウンした場合にも、登録しているサービスやアプリが全て利用できなくなる可能性も否定できません。そのためダウンした場合のサポートなど、万が一の状況が発生した場合の対応はあらかじめ確認しておくことが大切です。
管理システムが一元化されていることから、セキュリティのリスクが集中してしまう点はデメリットといえます。もしひとつのシステムが攻撃を受けた場合、全体のデータが危険にさらされてしまうといった面があります。
ID管理システムに限らず、新しいシステムを導入する場合にはそのシステムを利用する従業員に配慮する必要があります。中には、新しいシステムになかなか慣れられなかったり、使い方がわからなくなってしまったりするケースもあるかもしれませんが、システムを効率的に運用するには、ユーザーの慣れと受け入れがポイントのひとつといえます。
そのため、あらかじめ操作マニュアルを用意する、導入に際して説明会を行う、社内の問い合わせ窓口を設置しておくなど、スムーズな使用につなげるための対応が必要となります。
現在、さまざまなID管理システムが各社から提供されています。しかし、それぞれの企業における特定の要件や、IT環境などに合ったシステムを選ぶのが難しい可能性もあります。場合によってはシステムのカスタマイズや調整を行うことが必要となってくるケースもあり、追加のコストと時間がかかることにもつながります。
ID管理ツールの導入において、適切にトレーニングや研修が行われていないと従業員が正しくツールを使用できず、結果としてコンプライアンス違反が発生してしまう可能性も考えられます。システムの操作方法やポリシーの理解が十分ではない場合には、データの入力を誤ったり、アクセス制限において不適切な設定が行われたりすることがあります。
さらに、企業のニーズや業務フローに合わないシステムを選んでしまった場合には、運用上の問題が発生してコンプライアンスの遵守が難しくなる可能性も考えられます。
以上の点から、システムの導入にあたっては事前に十分な検討と準備を行い、コンプライアンス要件を満たせるシステムを選択することが大切です。
自社のサーバにシステムを導入するタイプが「オンプレミス型」です。このタイプを導入する場合には、サーバの構築や初期設定を行う必要がありますが、カスタマイズ性が高いこと、さらに企業で使用している既存システムとの連携が行いやすい点が特徴といえます。
システムとサーバがセットで提供されるタイプが「アプライアンス型」です。このタイプを導入する場合には、自社でサーバを用意する必要がありませんので、上記で紹介しているオンプレミス型と比較すると導入時のコストが抑えられる点がメリットです。
インターネットを介してサービスが提供されるタイプを「クラウド型」といいます。このタイプの場合、システムはクラウド上に構築されることから比較的安価に構築可能です。また、高い拡張性を持っている点が特徴のひとつであり例えば企業規模が大きくなった場合や将来的な事業展開などに対しても柔軟に対応できます。
加えて、他のクラウドサービスとの連携や、シングルサインオン(SSO)での認証も行えます。
企業においてはさまざまなシステムやサービスを使用しながら業務を進めていくことになるため、ID管理が煩雑になりがちです。しかし、ID管理システムの導入によってIDやパスワードを効率的に管理し、さらに業務効率の向上も可能となります。
このように、導入によってさまざまなメリットが得られるシステムですが、導入にあたっては自社に合ったものを選ぶことが大切です。どのような目的に応じた機能を備えているかといった点に加えて、システム連携ができる範囲やシングルサインオンに対応しているか、アクセスコントロールや認証方法の強化が可能かなどさまざまな点について確認した上で、導入するシステムを検討することが大切です。
ID管理システムの導入・運用によって情報システム管理の担当者の負担を軽減し、さらに従業員にとっても使いやすい環境の構築が可能となります。ぜひ自社に合ったシステムの導入を検討してみてください。