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デジタル技術の発展に伴い、都市機能のスマート化が急速に進んでいます。スマートシティでは、IoTデバイスやクラウドサービスが連携して市民サービスを提供するため、セキュリティ対策が非常に重要です。特に多要素認証は、スマートシティのサイバーセキュリティを確保する上で欠かせない要素です。
本記事では、スマートシティにおける多要素認証の重要性と実装のポイントについて詳しく解説します。
スマートシティとは、ICT(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)などの先進技術を活用して、都市の機能やサービスを効率化・適正化することを意味します。交通、エネルギー、医療、教育、行政サービスなど多様な分野でデジタル化が進められ、市民生活の質向上と持続可能な都市運営が目指されています。
スマートシティでは、センサーネットワークによるデータ収集、リアルタイムでの情報処理・分析、市民への情報提供サービスが統合的に運用されます。具体的には、交通渋滞の緩和、エネルギー使用量の適正化、防犯・防災システムの強化、行政手続きのデジタル化などが進められています。
一方で、多数のデバイスとシステムが相互接続される環境では、サイバー攻撃のリスクが格段に高まります。個人情報の漏洩、システムの乗っ取り、サービス停止などの脅威に対して、包括的なセキュリティ対策が不可欠です。
スマートシティでは、行政機関、民間企業、市民がさまざまなシステムやサービスにアクセスするため、従来のパスワード認証だけでは十分なセキュリティを確保できません。総務省の指針でも示されているように、なりすましや不正アクセスを防ぐために、多要素認証の導入が求められています。
参照元:総務省【PDF】(https://www.soumu.go.jp/main_content/000955126.pdf)
スマートシティにおける多要素認証は、以下の要件を満たす必要があります。まず、大量のデバイスと利用者に対応できるスケーラビリティが求められます。また、緊急時でもアクセスできる可用性の確保も重要です。市民にとって使いやすく、利便性を維持することと、多様なデバイスへの対応が重要な要素になっています。
スマートシティの多要素認証システムでは、生体認証、ICカード、スマートフォンアプリなど、複数の認証手段を組み合わせることが効果的です。特に、市民が日常的に利用するスマートフォンを活用したワンタイムパスワードや通知機能(プッシュ通知)を活用した認証は、利便性とセキュリティの両立が可能な方法として注目されています。
また、高齢者や身体的制約のある市民にも配慮した、アクセスしやすい認証方法の提供が求められます。
スマートシティにおいて、ICTインフラの整備と同時に、十分なサイバーセキュリティ対策の整備が求められます。多要素認証は、なりすましや不正アクセスを防ぐための有効な選択肢の一つであり、市民の個人情報保護と都市機能の安定運用を支える重要な技術です。
スマートシティプロジェクトを検討している自治体や企業の担当者の皆様は、ぜひ多要素認証システムの導入を検討してみてください。適切なセキュリティ対策を講じることで、市民に安全で便利なデジタルサービスの提供につながります。
多要素認証の基本的な仕組みや種類については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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