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デジタル化が急速に進む教育現場では、情報セキュリティの重要性が一層増しています。児童生徒の学習データ、教職員の個人情報、学校運営に関する機微な情報資産など、教育機関ではさまざまな情報・データを適切に保護する必要があります。
ここでは、教育機関における多要素認証の現状と、文部科学省のガイドラインが求める要件について詳細に解説します。
教育機関の情報セキュリティに関する主要な指針は、厚生労働省ではなく、文部科学省が策定する「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」であり、正確な情報源の参照先として重要です。
厚生労働省のガイドラインは主に医療機関の情報システム安全管理に関するものであり、教育機関のセキュリティ対策とは直接的な関連性がありません。文部科学省のガイドラインは、教育現場のデジタル化の進展に伴い定期的に改訂されており、特に2025年3月の改訂版では、多要素認証の導入が重要な要件のひとつとして明記されています。
ガイドラインが頻繁に改訂されるのは、サイバーセキュリティの脅威が進化を続けており、それに対応する政府の迅速な対策が求められているためです。これは、教育機関においても、セキュリティ対策を継続的に見直し、強化していく必要性がある現状を反映しています。
参照元:(PDF)教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(https://www.mext.go.jp/content/20250325-mxt_jogai01-100003157_1.pdf)
教育機関におけるMFA(多要素認証)導入では、単なる技術的な導入だけでなく、運用体制や管理方法、教育現場の実情に即した対応も必要です。2025年版の文部科学省ガイドラインでは、以下のような具体的な要件が示されています。
これらの要件を満たすためには、IT部門や情報システム担当者による計画的な整備に加え、教職員・学生への周知や教育も重要な要素となります。
教育現場では、学術情報や個人情報、機密性の高い研究データなど、さまざまな重要情報が日々取り扱われています。これらを保護するためには、パスワードのみに依存しない認証システムの導入が求められています。
MFA(多要素認証)を導入することで、仮にパスワードが流出した場合でも、他の要素による追加認証により、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。また、クラウドサービスの利便性を損なうことなく、セキュリティを強化できる点も導入メリットのひとつです。
さらに、セキュリティ体制の整備状況が、研究費助成における評価の一因となる場合もあります。セキュリティ対策の一環として、MFAの仕組みを正しく理解し、適切なソリューションを選定することが重要です。
多要素認証の基本的な仕組みや種類については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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